テンピに登場するストリートカー

ライトレイルがフェニックスに登場したのは12008年12月のことだ。それからまもなくして、今度は、テンピ市が同様の交通機関の導入計画を明らかにした。当市は、これをテンピ・ストリートカーと呼び、現代版の市街電車の登場となる。市街電車は、かつてアメリカの主要都市に欠くことができない大事な交通手段だった。しかし、車社会の台頭でこうした市街電車は次々と姿を消していってしまった。ところが、大都市における慢性的な交通渋滞、破棄ガスによる空気汚染、そしてガソリン代の高騰などで、人々の意識変化が顕著となってきた。そんな状況下で市街電車の導入が再検討され始めたのだ。

今回のテンピ市のストリートカー導入計画は、アリゾナ州立大学をかかえるカレッジタウンに新たな活気を呼ぶ可能性が高い。

今月はこの新ストリートカーの計画を探ってみよう。

シアトル市のストリートカー(写真:近畿車両社提供)

 

メトロは、フェニックス及びその周辺都市の公共交通システムである。これには、バスはもちろん、ライトレイルの電車も含まれる。メトロは、現在のライトレイルを基礎にさらなるプロジェクトを立ち上げた。それは、テンピ市の中心街2.6マイルを走るストリートカー、つまり市街電車の計画だ。そして、昨年2010年にそのプロジェクトが承認された。このストリートカーの運行は、現存の公共交通システムをさらに発展させる重要なカギを握っている。
テンピ市を走るストリートカーは、すでに運行しているライトレイルより車体が小さく、また、1台単独で走る。また、駅と駅との間隔を短くして、乗客の乗り降りが頻繁で簡単にできるようにする。

   

テンピのストリートカーは、3年前に「テンピ・サウス・スタディー」という名で始まった研究の賜物である。この「スタディー」は、テンピ市とチャンドラー市の公共交通機関を強化することを目指してスタートした。
当プロジェクトの目標は、次の通りだ。
1)機動性の向上
2)効率的で低コストな交通機関の開発
3)今後増大する需要への対応
4)将来の開発目的と開発計画の支援
5)通勤とレクリエーションに容易に利用出来る交通手段の開発

今回のテンピ・ストリートカーは、まだ第一段階であり、将来は、全線57マイルまで伸ばして、収容能力が高い公共交通システムを目指している。このプロジェクトの全ての完成は2031年というから、まだまだ先の話である。

   

1) ミル・アベニューの交通手段を増やすこと
2) テンピ市ダウンタウンへの往来が容易にできるようにすること
3) 活用頻度が低い不動産の再開発を促進すること
4) 周辺地域への投資機会を増やすこと
5) 都市生活の環境作りをすること
6) 新たな乗客層を誘因すること
7) 現存の交通機関との密接な接続を提供すること
8) 地域の通勤客、学生、ビジター、イベントの機動性を強化すること

 
   

本年9月18日にテンピのライトレイルの駅にストリートカーがお目見えした。この電車は、日本の近畿車両株式会社が生産した車両である。ちなみに現存のライトレイルも同社の製品である。
この日のイベントは、ストリートカーのサンプルとして同社の車両を一般の市民に見てもらおうとテンピ市が企画したものだった。これには、テンピ市やメトロの職員、近畿車両の社員が市民への説明などのため参加している。
メトロでは、まだどの会社の車両を使うか決定していない。その決定には、あと1年かかるようである。
近畿車両社の話では、この日に登場した同社製品の強みは、全てがバッテリーで動くように開発されているため、路線上に電線を張る必要がないことらしい。しかもこのバッテリーは強力であるだけでなく、充電が短時間で可能となることである。

 

テンピ・ストリートカーの企画は、2016年の完成を目指している。明年2012年からは全体の設計が始まる。そして、同年の半ばから工事への準備が行われ、実際の工事は、2013年の半ばに開始されることになっている。そして3年間の工事を経て、2016年にミル・アベニューを走る市街電車を見ることができるようだ。