グライダーの体験飛行
見下ろそうアリゾナの大地

フェニックスの北西にある人工湖、レイク・プレザント。その周辺はサワロのサボテンが林立する荒涼とした砂漠地帯だ。その上空を頻繁にグライダーが舞い上がっている。もちろんエンジンのないグライダーは、翼に当たる風を見事に使って、静かにフライトする。このフライトツアーを提供しているのが、ターフ・ソアリング・スクールだ。名前のごとくスクール、つまりパイロットを目指す人々がここで飛行の実施訓練を受ける学校である。と同時に、観光客などを相手にグライダーの飛行ツアーを行っている。
今月は、このグライダーに乗り、眼下に見えるアリゾナの大地を眺めてみよう。

   

眼下はプレザント・バリー飛行場。

 

離陸時にグライダーを引っ張るセスナ。

 

 

 

ここには全部で8台のグライダーがある。
左の計器は高度が7,000フィートであるを示す。
 

プレザント・バリー空港

ここは、アリゾナでは数少ない個人経営の空港だ。レイク・プレザントの湖がすぐ北にあり、そこには毎日ボートや釣を楽しむ人々が訪れている。この空港のオーナーは、ロイ・クリエットさん。1967年に前任者からパイロット学校を買い取って以来、飛行一本で生きてきた根っからの飛行士だ。1976年にチャンドラーにあったその学校をこの地に移し、プレザント・バリー空港を作った。そして、その敷地内に自宅を構え、その横には飛行機修理用の格納庫を設置した。彼の話では、一時期、日本の自衛隊からパイロットの卵達が派遣されてきて、ここで学び飛行ライセンスを取得していったという。外国語である英語というハンディを負いながらも、実に短期間で試験に合格して免許を取得していく彼らを見て、クリエットさんは舌を巻いたという。
今でも10代から大人にいたるまで様々な年代の人たちがここに来ている。10代の若い人たちの方は、習得していくスピードが早いらしい。それは、「恐れがない」ことが大きな秘訣だと、彼は言う。

エンジンのないグライダーは、離陸が自分でできない。離陸時は、セスナなど小さな飛行機とグライダーをロープでつなぎ、上空でそのロープをグライダーの方から、とり離すしくみになっている。

ロイ・クリエットさん、愛用の飛行機と

   
グライダーのソアリング

グライダーは第二次世界大戦で、前線に兵士や車両を輸送する軍用に活用された。現在はスポーツや観光・娯楽用によく使われている。エンジンを使わないので、一旦空に舞い上がったグライダーは、上昇気流を使い、かなりの高度を長時間飛行することができる。この飛行をソアリングと呼ぶ。太陽が出て日射によるサーマル(熱上昇風)が出るとこれを利用して上昇する。これをサーマル・ソアリングという。アリゾナのように日照に恵まれている場所は、サーマルを利用したソアリングに最適である。

   
ターフ・ソアリング・スクールでのグライダー・ソアリング

ここでの自慢は、何と言ってもレイク・プレザントを見下ろす眺望だ。周囲が一面の茶褐色な砂漠。そして、真っ青な湖とその水面を走るボートの描く白波の線。それは荒涼の大地に忽然と現れたオアシスの美である。
上空の大気が澄んでいる時は、フラッグスタッフの北にあるサンフランシスコ・ピークの山が見えて来る。まさにアリゾナを天から見下ろす恰好になる。しかも、全く静かである。風の音以外に何も聞こえてこない。このソアリングに魅了された人々が、ここに団体で飛行を楽しみに来ることもある。

グライダーのツアーやパイロット研修などの情報は、下記の通り。
ウェブ: http://www.turfsoaring.com
電話:602-439-3621